2013年06月07日

「はじめに」と「目次」

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はじめに

 この本は、NHK特集『謎の絵師・写楽』の取材制作のプロセスを再現しつつ、日本美術史上最大の謎の解明を試みたドキュメンタリーです。
 このころの私は、歴史の定説を覆す番組を、10本くらい制作して、学者たちを驚かせてやりたいという野心をもっていました。たとえば、縄文土器、万葉集、出雲大社・・・。
 若かったから? いや、そうではありません。飢えていたからです。
 そして、本書をこのプログに公開する意図は、あのころと同じ〈飢え〉を、今、しきりに感じてならないからです。
 飢えは、満たしてやらねば、やがて身を滅ぼします。満たすには、書くしか方法がありません。書くために、自分に火をつけるために、本書を読み返し、公開し、今のこの飢えをしっかりと確認し、さらに刺激したかったのです。
 オッと、いきなり脱線しましたが・・・本書は、版画家池田満寿夫氏との共著です。
 以前から彼のファンであった私は、番組を企画する最初の段階からコラボレーションを呼び掛けたところ、予想通り、二つ返事で快諾。
 その後のスリリングな展開は、本文でお楽しみいただくとして、制作中ずっと感じていたのは、氏の底知れぬ〈飢え〉の深さ大きさ。ヒリヒリとそれは絶えず私に迫ってきて、実に実に幸せな数ヶ月でした(えっ? はやく本文を始めろ? はい、はい、ただ今)。
 300ページ近い本書のうち、私が約220ページを第一部として、池田氏が残りを第二部として執筆。ここでは、私が担当した第一部のみの公開ですが、完全に独立した作品として完結しているので、充分に楽しんでいただけると思います。
 お待たせしました。ではまず、目次から、どうぞ。

目次

第一部 写楽追跡 川竹文夫
1 挑戦
  出会い 出発進行
2 忘れられた絵師・写楽
 写楽登場 ドイツ人クルトの写楽評価
 『浮世絵類考』に残るわずかな手がかり
 式亭三馬の記録 三馬の書き込み
3 謎の絵師・写楽
 写楽捜しの日々 “写楽の謎を積み上げろ”
 キラ摺りの謎 間版の謎
 写楽絵には秘画がない なぜ異版が多いのか
 たった一○カ月の制作期間の謎
4 30人の写楽
 写楽説さまざま 石森正太郎さんの歌麿説
 酒井藤吉さんの谷素外説
 福富太郎さんの司馬江漢説
 福富写楽説の問題点 写楽説一覧表
5 写楽追跡
 作品こそ手がかりだ 写楽は自画像を描いている
 画家と自画像 対決
 写楽はダメになったのか これは消去法だ
6 科学の目が負う
 試行錯誤 絵を見る人の目を追え
 ヴィジョンアナライザー 実験本番
 写楽は前期だけを描いている!
 アンバランスの謎 一期と二期の違い
 写楽は素人だ 写楽絵は1期28点だけ
 ターゲットは定まった
7 役者を洗え
 作品分析の先へ進め!?  役者別「写楽捜査ファイル」
 給金を調べる 新たな謎
8 阿波徳島の写楽たち
 写楽の里 写楽の墓
 もう一つの写楽の墓
9 斎藤十郎兵衛説再考
 十郎兵衛説復活 もう一つの十郎兵衛説
 阿波能役者への疑問
10 「東洲斎写楽」という名前
 ペンネームの謎を解け さまざまな解釈
 十洲という名に何かある!
11 「東洲」発見
 『明和伎鑑』の中に「東洲」がみつかった!!
 俳名東洲とは何を証すのか
 写楽は四人の役者の中にいる
 人物特定の手がかりは失われた
12 自画像を捜せ!
 暗礁が続く「写楽絵」分析に帰る
 自画像に秘められた画家の心理とは
 30の目、30の鼻 浪速の写楽
13 これが写楽だ!!
 悔恨 一つの目、そして一つの鼻が……
 自画像発見! 写楽は役者の中村此蔵だ
14 写楽=此蔵説の検証
 写楽=此蔵説の証明――五つの鍵
 蔦重はなぜ素人を起用したのか
 なぜキラ摺りを使ったか
 なぜ1期28点で筆を折ったのか
 そして写楽は忽然と消えた
結 写楽はやはり此蔵だった
 写楽は「楽屋を写す」 写楽の人物比定はできた





posted by 川竹文夫 at 09:16| これが写楽だ

今日一日


今日一日の仕事をすれば

一歩

夢に近づく

今日一日のやることをやれば

さらに一歩

夢を引き寄せられる

ささやかで頼もしい

今日一日



posted by 川竹文夫 at 09:02| 雨の日もいい天気